スレッドとは「身体の部位を使って作った輪っかを通すブレイクダンスのテクニック」です。
ブレイクダンス発祥と言うと異論があるかもしれませんが、このテクニックを現在の質に引き上げたのは確実にブレイクダンサーです。
その為か「スレッドをする人=ブレイクダンサー」と安易に発想されてしまうのが、もったいないなと普段から思っています。
テクニックとジャンル
僕がJuste Deboutというブレイクダンスではない世界大会に出場した時にも出来るだけブレイクのテクニックを使わずにスレッドを駆使したつもりが「ブレイク」と呼ばれてしまいました。
それくらい、ダンス界ではテクニックとジャンルは近い関係にあります。
そういうものなので、そこに不満はありません。
でも、それに縛られない自由な発想のダンサーがもっと沢山いても良いんじゃないかな?とは思ってます。
タットとポッパー
タットと呼ばれるポッパー中心に進化したダンステクニックは既にポッパーの手を離れ一つのジャンルになろうとしています。
実際に僕もタットのテクニックだけ抽出して高齢者の健康運動として活用しています。
音楽とジャンル
長くストリートダンス界は音楽がジャンルを作ってきましたが、ぼちぼちテクニックがジャンルを作る時代になっても良いと思っています。
一応僕もスレッドを進化させた内の一人として色んな国の人に名前を知っていただけていて、そんな良き繋がりから僕がスレッドを伝授する事になった2つの事例を見ていただきたいです。
コンテンポラリー×障害×スレッド 「大前光市」
ポールダンス×エクスペリメンタル×スレッド 「Yvonne Smink」
二人ともそのジャンルでは世界的に知られているダンサーで、彼らにスレッドを伝授する機会に恵まれただけでまず僕は幸せです!!
ポップをしないタットダンサーがタットを次のレベルに引き上げました。
ブレイクをしないスレッド使いがスレッドを次のレベルに引き上げる時代も近いのかもしれません。
以下は更に専門的な話になりますので、興味のある人だけ読み進めてください^ ^笑
スレッドとテクニック
ブレイク経験のない人にスレッドを教える時に思ったのが、ブレイカーの身体能力。
ブレイク以外のダンサーはパワームーブはもちろん、逆立ちもフットワークも出来ません。
回転しながらのスレッドや逆さまになってのスレッドは最初から教える気はありませんでしたが、フットワークの態勢でのスレッドも教えきれない事に気付かされました。
逆に言ったら中腰でのスレッドはブレイカー以外に教える必要なんて無いのでは?と。
強引な言い方をすると「ブレイクのテクニックが不可欠なスレッドは純粋なスレッドテクニックでは無い!」と、、スレッドの定義付けが難しいのをいい事にメチャクチャな事を言ってみました。笑
でも、そう自分を思い込ませてスレッドを見ると世界が変わりました。
テクニックに留まらず、発想も。
テクニックと発想
例えば、新しい足の抜き方を発見した時に「バトルで使いづらいから捨てる」というB-BOY特有の考えや、もしくは「B-BOY的にこうしなければならない」事がよくあります。それらを無視した途端に鳥肌が立つ時がある。特にレッスンで誰かに伝えた時の(B-BOY以外の)相手の反応でB-BOY的スレッドの常識が簡単に覆る時がある。
- 素早くなくても良い
- 遠心力を利用しなくても良い
- カカトを地面に着いても良い
- 直線的なスレッドが続いても良い
- シルエットがダサくても良い
- 途中で解除しても良い
- 派手でなくても良い
- そして、伝わらなくても良い
1つのジャンルを経験しすぎる事で、いつの間にこんなに多くの制約(こだわり)に振り回されていたんだろう?
ダンスやってて良かった。
スレッドやってて良かった。
この覆る感覚はスレッド使いにしか分からないだろうなって思います^ ^
ここまで読んで興味を持ったダンサー、、
いや、ダンサーじゃなくてもいいです。
スレッド、始めてみてはいかが??^ ^
おまけ
あ、最後に特殊な事例をもう一つ。
Morlborism
この動画に僕と公理と一緒に映ってるLionというダンサーは僕と公理と一緒に同居していた事がキッカケの一つとなりダンス界に引きづりこまれ(てしまっ)た人物です。
ダンスを始めた時点で絡んでいたダンサーが僕と公理ですよ?
そりゃー、こんなダンススタイルになりますよ。彼と一緒に練習すると自分がいかにダンス界の常識に惑わされていたのかに気付かされる事が多いです。
今回の投稿はストリートダンスの歴史やカルチャーを否定するものではありません。
むしろカルチャーを尊重してますし、尊重しているからこそ、そこから外れたダンサーやスタイルが光る発見があるって事です。
何事もバランスです。
真ん中にいる人も端っこにいる人も尊重し合えたらまた次の次元に進める気がしています