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「ダンスとは何ぞや」「アートとは何ぞや」

ダンスとは何か?アートとは何か?答えに近づいたDWC世界大会の出来事

ずーーーっと悩まされている議題があります。
「ダンスとは何ぞや」「アートとは何ぞや」

@bboy_knit さん
@koichiomae さん
@emihariyama さん
今度ぜひ、このテーマについて議論しましょう。

競技ダンスの時代:肉体的には苦しくても精神的にはシンプルだった

僕が現役時代に挑戦していた世界大会では、やるべきことが明確で、肉体的にはキツくても、精神的には迷いがなかったのを覚えています。

ですが約7年前にストリートダンスの第一線から退いてからは、しまいこんでいた「そもそもダンスとは?」という問いに改めて向き合うようになりました。
肉体的な追い込みは減った一方で、精神的な葛藤が始まったという感じです。

DWC世界大会で起きた「ダンスの本質」を問う出来事

そして、その答えに近づくような出来事が今週起きました。

DWC(Dance World Cup)というダンスの世界大会にて、日本代表として出場したダウン症のTomokaが、リリカル ソロ部門で健常者に混じって優勝しました。

僕たちプロダンサーは、スキルが上がるにつれて、無意識のうちに「プライドのようなもの」が表現の邪魔をしてくる感覚に悩まされます。
Tomokaのようなダンサーはその「邪魔されにくい」状態で純粋な表現に挑んでいます。

高評価される日が来るとは思っていましたが、まさかこんなにも早く世界の頂点に立つとは。驚きとともに喜びが湧きました。

審査の現場で感じる「評価できない本音」

僕は審査員としても活動していますが、正直に言うと、
「評価しにくいけど本音では高評価をあげたい作品」ってたくさんあります。

ただ、審査という場ではどうしても公平性や技術の枠内で評価を下さなければならないため、その本音を表に出せないことも多いです。

今回のDWCでは、その本音を汲み取って評価する審査員がいたことに感謝しています。

テクニックと表現、それぞれの限界と可能性

たとえばブラジルの片足欠損のブレイクダンサーSamukaは、ブレイキン部門という「肉体的な技術」が問われる部門で世界一に輝きました。

そしてTomokaは、表現力が重視されるリリカル部門で優勝。障がい者ダンスシーンを知る人ならこの構図の面白さが分かると思います。

「本当にダンスに向いている」と心から思えたKaz-ma

余談ですが、同じくリリカル部門で世界第3位となったKaz-ma。
彼と個人レッスンをしているとき、僕の口から自然と出た言葉が
「カズマは本当にダンスに向いてるなー」でした。

彼は全盲であり、車椅子ユーザーでもあります。
でも、彼の作品には何も言うことがなかった。完成されていたのです。

下手に第一線の経験からアドバイスして壊さなくて本当に良かった。

インクルーシブな世界大会の存在が、ダンスの未来を拓く

「障がいのあるダンサーが、健常者と対等に評価される世界大会がある」
そのことが僕にとって何よりも嬉しいです。

テクニックや完成度ではない、本質的な表現に評価が届く時代が、すでに始まっています。


👉 あなたにとってダンスとは何ですか?
「正解がない」からこそ、これからも一緒に悩み、楽しみ、問い続けていきたいと思っています。

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